ユーティリティプレイヤー
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ユーティリティプレイヤー

 

サッカーでは、選手の役割とも言えるさまざまなポジションがあります。さらにミッドフィルダーでも、攻撃的、サイド、守備的など細かく分かれて、それぞれのポジションに、専門的な選手を配置します。

 

しかし選手によっては、一人で複数のポジションをこなすこともあります。このような選手のことをユーティリティプレーヤーと言います。元日本代表監督のオシムさんは、そういう選手のことをポリバレントと表現していましたが、意味は同じです。

 

ただしゴールキーパーに関しては専門職になるため、他のポジションと掛け持つことはありません。ユーティリティ性が重要なのは、フィールドプレーヤーだけです。その選手の適性やチーム事情などによって、ポジションが変わることがあります。

 

例えばアルビレックス新潟に所属している元日本代表の矢野貴章がいますが、フォワードとして活躍していました。しかし前所属の名古屋グランパスにいたときに、怪我人が多いチーム事情によって、右サイドバックへ配置転換されました。

 

フォワードからディフェンダーだと全く役割が異なりますが、スピードがあり、ドリブル技術がある選手だと、サイドバックに配置して攻撃参加させれば、能力を発揮できる可能性があります。そういった経緯からも、こなせるポジションがどんどん増えていくことがあります。

 

またユーティリティプレーヤーがベンチに一人いるだけで、戦術の幅が広がります。1チームにつき、ベンチ入りができる選手の数が決まっているため、一人でいくつものポジションがこなせる選手はありがたい存在です。ミッドフィルダーであっても、ボランチも、サイドも、トップ下もできる選手もいます。

 

またベンチ入り選手だけでなく、試合の途中でポジションが変わることもあります。例えば退場して選手が一人減ったり、戦術的な理由から変わることがあります。

 

特にワールドカップだと、1チームに登録できる人数が23人と決められています。そのうちキーパーが3人いるため、フィールドプレーヤーが20人しかいません。強豪国になると、グループリーグから決勝戦まで、開催期間1ヶ月の間に、最大7試合こなすことになります。

 

短期間に7試合も行うと、試合中にケガをする選手もいれば、イエローカードの累積やレッドカードで、出場できないこともあります。また決勝トーナメントになると延長戦もあるため、主力選手をなるべく休ませる必要もあります。

 

ワールドカップでは、ベンチ入り選手の層の厚さが重要になってきます。そのため代表選手を選ぶときには、少なくとも1人はユーティリティプレーヤーを選ぶことが多いです。そうすると、その他のポジションで多めに選手を選ぶことができるため、貴重な存在です。

 

2002年の日韓ワールドカップでは、韓国がイタリアやスペインに勝って、ベスト4に進出しました。開催国であったことが大きな強みではありますが、一番は監督が良かったことです。当時の韓国代表監督はヒディンクでした。

 

代表選手23人を選ぶときに、ヒディンク監督はユーティリティプレイヤーばかり選びました。同じ能力であれば、複数のポジションができる選手を選ぶと断言していました。これは作成の一つで、試合途中の選手交代によって、選手のポジションを変えまくって、相手チームを混乱させたのです。

 

マークをしていた選手が、いつの間にか変わっていて、また気がついたら変わっているなんてことが起こりました。フォワード登録の選手をどんどん入れて攻めまくったり、普通では考えられない戦術で戦ったのです。その結果見事にワールドカップベスト4になりました。

 

ちなみにヒディンク監督は、2006年ワールドカップでは、オーストラリア代表で初めてベスト16に導きました。グループリーグで日本に大逆転で勝ったことでも知られています。さらに遡って、1998年フランスワールドカップでは、母国のオランダをベスト4に導きました。さらにEURO2008ではロシア代表でベスト4に進出しました。

 

ヒディンク監督は、名将として有名で世界のさまざまなクラブを率いて結果を残しています。すでに70歳を超えて、監督業を引退してしまいましたが、サッカーファンなら誰もが知る監督です。

 

 

ユーティリティプレーヤーで活躍した選手
元韓国代表にパクチソンという選手がいます。Jリーグにも所属したことがある日本でも馴染みのある選手です。2002年日韓ワールドカップでは、ヒディンク監督の元でベスト4進出に大きく貢献しました。

 

その後オランダのPSVを経て、イングランドの名門クラブであるマンチェスターユナイテッドで7シーズンもプレーしました。ここまでのキャリアを過ごした韓国人サッカー選手は過去にいなかったため、引退した現在でも韓国では英雄となっています。

 

そんなパクチソンですが、特別テクニックが優れていたわけではありません。90分間走り続けることができる豊富な運動量が武器でした。さらにミッドフィルダーとフォワードなら、どこでもプレーできるユーティリティ性がありました。中盤の守備をこなしながら、攻撃でも力を発揮する選手です。

 

マンチェスターユナイテッドでは、必ずしも主力選手だったとは言い難いですが、ビッグクラブであるがゆえ、使えない選手はすぐに放出されてしまいます。それを考えてと、7シーズンもの間プレーをしたのはすごいことです。

 

さらにパクチソンを超えるユーティリティ性を持っていたのが、元オランダ代表のコクーです。右、左手、中央と全てをこなせる選手はいますが、コクーの場合はゴールキーパー以外全てこなせました。まさにユーティリティプレーヤーの申し子とも言える存在でした。

 

本来はボランチの選手でしたが、センターバックからフォワードまでこなせるのが魅力です。守備に定評があったため、ボランチやディフェンダーでの起用が多かったですが、攻撃でも力を発揮しました。フォワードの目標である、シーズン2桁得点を取ったこともあります。さすがにここまでのユーティリティ性は過去にも現在にもまずいません。

 

その他の選手だと、バイエルンミュンヘンのラームがいます。もともとは右サイドバックの選手ですが、そして左サイドバックもプレーします。またサイドでもより前線に近い、サイドハーフも左右こなすことができます。

 

170cmと小柄な選手ながら、ボール奪取力があり、攻撃に参加するとクロスの精度が高い選手です。また戦術理解度が高く、頭のいい選手でもあります。ドイツ代表、バイエルンミュンヘンの両方でキャプテンになったドイツを代表する偉大なプレーヤーです。

 

さらに2013年にバイエルンミュンヘンの監督になったグアルディオラによって、中央での適性を見出されました。ラームは足元の技術も高く、パスの精度も高いため、ボランチ(アンカー)にも配置されました。その後はドイツ代表でもボランチとしてプレーするようになり、現在では左、右、中央とエリア関係なく、守備をこなせるようになりました。

 

多くのユーティリティプレーヤーを見ていると、知的な選手が多いように思います。ポジションが変わっても、どのように動けばいいのかを理解しているから、スムーズに他のポジションをこなせるのだと思います。

 

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